続け!私の気力

小説を書くか、日記を書くか、

村は狭い。少し離れるとすぐに隣の村に入ってしまう。
それというのは、うちの村は四方八方他の村に囲まれているためだ。
誤って他の村に入ってしまったことが親に知れると、思いっきり頭を引っ叩かれ、
その日の晩御飯は抜きと言う相当な罰を受けることとなる。
真は3回ほどこの禁句を犯し、3回目に至っては見たことのない大きなコブを
作ってくると言う始末である。それでもけろっとした様子の真を見て、
誰もが絶対にまたやると思ったことだろう。案の定今も危ういことをしている状態だ。


それも仕方ない。真に限ったことではなく、村の子供たちは皆
その有り余るエネルギーをこの狭い村の中では発散できずにいる。
そのため真のようなことをする子供は少なくはない。(対外1回限りだが…)


そうして僕らはこの洞窟探索をすることになった。
計画したのは幸だった。幸は昔からあの洞窟がとっても気になっているようで、
よく洞窟の前にいて、行き来する人たちを観察していた。
僕はそれに何度か付き合わされたことがある。


洞窟の周りはたくさんの木々に囲まれていて、昼間でもなかなか不気味な場所だ。
そんな所で一人で洞窟を観察する幸の度胸は、さすがと言わんばかりだった。


中には何があるんだろうね


おいしいものでも隠しているんじゃない?


そんな会話をしながら静かに洞窟の側で身をひそめていた。


洞窟には以外にも敏感に人の出入りがあった。
入っていく人は皆、僕らがあまり見かけることがない人だった。
こんな小さな村でなかなか見かけない人というのは珍しかったので、
その晩、母さんに恐る恐る聞いてみたところ、マツヨ様の所の人だと教えてもらった。
中で何をやっているとか、なにがあるとか、どうして子供が入ってはいけないかは
今まで教えてはくれなかったので、僕は貴重な情報を手に入れてすぐにでも
誰かに話したくなったことを今でも覚えている。


洞窟の観察はなかなか刺激的で僕もそこそこ楽しんではいたが、
やはりあの真っ暗な穴の中に入ってみたいとは思わなかった。


そのうち、飽きてしまって僕はそれから幸の誘いに乗ることもなくなった。


そしてある日のことだった。
真が洞窟に入ったというとんでもないニュースが耳に入って来たのだ…