続け!私の気力

小説を書くか、日記を書くか、

内緒

他の村には3回という驚きの侵入記録があるのにも関わらず、
今まで洞窟には近づきもしなかった真。
きっと洞窟は真にとっては差ほど興味のあるものではないのだろうと
僕は勝手に思っていたので、真が洞窟に入ったという話を聞いてすごく驚いた。
本当はずっと、気にはなっていたのだろうか…


すぐさま真に所に駆け付けると真はもう皆に囲まれていて
質問攻めの真っ最中だった。
それもそのはず、今まで洞窟に入った子供なんていなかったものだから、
それはもう勇者も同然だった。


皆の輪の中心にいる真は竹トンボの調整に夢中のようで、
まともな回答をしているようには見えなかった。


みんな、いい加減にしろよー


そういって真の周りの包囲網をかき分けていったのは佐吉だった。
後ろには幸の姿もあった。


皆よく見ろよ、真は話を聞いてないぞ。


その佐吉の一声で、皆今までの質問を一時中断して、真をじっと見る。


真はしんと静まった空気の中、
竹トンボを空にかざしてなにやら考え事をしているようだった。


わかったら、皆俺にいい考えがあるんだ。こっちに集まってくれ!


そういって、佐吉はどこかに走っていったかと思うと、
今まで真を囲んでいた皆も、
佐吉を追いかけて次々にそちらの方へ走っていってしまった。


気付くとこの場所には、真と僕、そして幸だけが取り残された。


真?


幸がそっと真の名前を呼ぶ。


真ははっとしたように今まで手に付けていた作業をやめ、
幸を見つけると、「あ!幸!」と嬉しそうに笑顔になった。


その後、「あ!龍もいる!」と僕を見つけると、


あのね、二人とも聞いて!私洞窟に入ったんだよ!それでねそれでね…


そういって真が話だそうとすると、


真、お母さんに怒られなかった?


幸が真の話に割り込む形でそう言った。


僕はすかさず「今回は、お仕置き喰らわなかったの?」と続けて聞く。
いつも真がいけないことをした時は、明らかなコブを作って帰ってくるので
今回それがないのはとても不思議だった。


真は、うーんと少し考えると「ないしょ!」と一言。
でもね、と真が続ける。


痛いことはされてないよ。晩御飯も抜きにはならなかったし!


僕と幸は顔を見合わせてなんとも言えない顔をする。
「二人とも変な顔しないでよー」と真が笑う。


そのないしょが気になるの


幸がまだまだ心配そうな顔でそう言うと、
真は「その内ね」と言ってその後も教えてはくれなかった。